ジューンブライドとかいうウェディングハラスメント

「明るいカツアゲ」とはよく言ったもので。

独身の女性社員がいる。どうやら友人が結婚するようだ。

接客業なので基本土日は仕事になるので有給の申請に来たようだ。

「何で！貴重な！有給を！結婚式に使わないといけないんですか！」

こんな有給の申請ある？そう、彼女は激怒していた。

「どうして手取り15万なのに3万円もご祝儀包まないといけないんですか？」

本当に仲の良い友人ならともかく「何で私が？」みたいな人数合わせだと払いたくない気持ちも分からなくはない。貴重な有給を消化して3万払ってたいして仲良くない友人におめでとーってこれもう立派なハラスメントだよね。5人結婚したら1カ月只働きだし。6月は祝日も無いし雨ばっか降ってるしもうなんなんですか！って稲村亜美かな？ってくらい綺麗なフォームで申請書叩きつけていった。

力のある中学生が力の無い小学生をカツアゲするように、結婚する女性が独身女性からお金を巻き上げていく。「お金持ってません」と小学生が言うと「じゃあ、ジャンプしてみろよ」って言う中学生のように、独身女性だけ集められて「ほら、結婚したいならジャンプして取ってみなさいよ」とブーケをトスされる。これもう半分貴族の遊びと言っていい。

結婚式を挙げるまで毎週毎週インスタにアップされるウェディングドレス。「いいね」のカツアゲっていうかもはや年貢。ちゃんと納めないといけないという点において。たしかにね、最上級のインスタ映えなのは分かる。ウェディングドレスを着て幸せの絶頂。こんなに素敵な笑顔が出来る人を僕は他に「WANIMA」のボーカルくらいしか知らない。

ウェディングドレスどれが良いと思う？ってTwitterでアンケート取ってたけど本当にどうでもいい。1秒も考えたくなくて適当に①を選択しといたけど他の子も①を選んでたみたいで過半数超えてた。驚くよね、結局1番人気の無かった③のドレスにしましたって。ゲームの後半くらいに出てくる全ての攻撃を無効化するモンスター思い出したよね。スルースキルが高過ぎる。

結婚式当日、式は素敵だった。結婚って良いよねって普通に思った。一緒に来てた独身の同級生グループで結婚したいねーとか話してた。まあ、私が1番先に結婚するけどねってみんながみんな思ってた。よく考えてみたら結婚した友人は昔からぬけがけしてたなって話になった。中学校時代のマラソン大会で「みんなで一緒に走ろう」みたいな感じでやってたのにスタートの合図でクラウチングスタート通り越してスピードスケートのスタートみたいなフォームで位置についてた。「瞬足」穿いて。「左右非対称ソールが左回りのコーナーでしっかりと地面を捉える設計になってるんだよね」とかめっちゃ早口で言ってるのを聞いて「あっ、こいつやべぇな」って思った記憶が蘇ってきた。

結婚式の二次会にも参加した。余興でビンゴやったんだけど全然当たらないの。こんなのにビンゴできるくらいならもうとっくに結婚してるっつーの。なんて思ってたらまさかのビンゴ。私の運も捨てたもんじゃないって景品取りに行ったら折り畳み自転車だった。「じゃあ自宅に郵送で」って言ったらそういうのやってないって。いくら折り畳んでもかさばるよね、自転車なので。土曜日の夜の終電っていう割と混んでる電車に乗らなきゃいけないのにもう視線が痛いよね。本当にすいませんって感じで片手に引き出物、もう片方の手に自転車っていう状態でホームに向かってるんだけど、ドレスにヒールでこんな大荷物持つこと無かったからね。歩くのに時間掛かっちゃって終電に乗り遅れるっていう。

もうね、乗り遅れるのは結婚だけにしといてほしい。